第2回 なぜBtoBでは顕在顧客が少ないのか
市場構造・検討期間・意思決定のリアル
前回の記事では、
潜在顧客をどう捉えるかについて解説しました。
今回は一歩進んで、
「なぜBtoBでは、そもそも顕在顧客が少ないのか」
という構造的な理由を掘り下げていきます。
この背景を理解せずにマーケティングを行うと、
- 広告費が高騰する
- 問い合わせ(資料ダウンロード)が伸びない
- 施策が短命に終わる
といった状態に陥りやすくなります。
顕在顧客が少ないのは「異常」ではない
まず大前提として、
BtoBで顕在顧客が少ないのは“正常な状態” です。
BtoBビジネスは、
- 高額
- 長期利用
- 業務・組織への影響が大きい
という特徴を持っています。
そのため、
「なんとなく良さそうだから導入する」という判断はほとんど起こりません。
理由①:BtoBの課題は“緊急性が低い”
BtoBの多くの課題は、
- すぐに会社が潰れる
- 明日から業務が止まる
といった即時性のある問題ではありません。
例えば、
- 広告効率が少しずつ悪化している
- リードの質が落ちている
- 営業が属人化している
これらは「困ってはいるが、今すぐではない」課題です。
結果として、
課題は存在していても、顕在化しにくい
という状態が生まれます。
理由②:意思決定までのプロセスが長い
BtoBでは、
課題を認識してから意思決定までに長い検討期間が存在します。
よくある流れ
- 現場が違和感を覚える
- 上司に相談する
- 情報収集を始める
- 社内で議論する
- 予算を検討する
- ようやく比較・検討
この段階を経て初めて、
顕在顧客として表に出てきます。
つまり、
顕在顧客とは「検討が最終段階に入った人」なのです。
理由③:意思決定者が一人ではない
BtoBでは、
意思決定が複数人・複数部門にまたがることが一般的です。
- 現場担当者
- マネージャー
- 役員
- 管理部門
それぞれが異なる視点を持っています。
- 現場:使いやすさ
- 管理:コスト・リスク
- 経営:中長期の戦略
この調整が終わるまで、顧客は顕在化しません。
理由④:顕在化する瞬間は「静か」
多くの企業が誤解しているのが、顕在化は突然起こる という点です。
- 組織変更
- 事業拡大
- 既存施策の限界
- 外部環境の変化
こうしたきっかけで、
それまで潜在状態だった顧客が一気に顕在化します。
しかしその前兆は、ほとんど表に出ません。
なぜ「顕在顧客狙い」だけでは限界が来るのか
顕在顧客だけを狙うマーケティングは、次のような状態を招きます。
- 競合と同じ顧客を奪い合う
- 広告単価が上がる
- 比較されやすくなる
- 価格勝負になりやすい
これは、市場の一番狭い部分だけを取り合っている状態だからです。
成果が出る企業は「顕在の前」を見ている
成果を出しているBtoB企業は、顕在顧客が少ない現実を前提に、
その手前の層に力を入れています。
- まだ困っていない
- まだ調べていない
- まだ比較していない
この段階から、
- 課題を言語化し
- 判断軸を提供し
- 信頼を積み上げる
という設計を行っています。
顕在顧客は「作るもの」
BtoBにおいて、顕在顧客は自然発生するものではありません。
- 潜在顧客が
- 情報に触れ
- 気づきを得て
- 顕在化する
この流れを意図的に作れるかどうかが、マーケティングの差になります。
顕在顧客が少ない前提で設計する
顕在顧客が少ないのは、BtoBビジネスの欠陥ではありません。
それは、構造そのものです。
だからこそ重要なのは、
- 検討が進んだお客様(顕在顧客)の意思決定を支える
- “潜在顧客”の検討が具体化していくための設計
この2つを同時に持つことです。
次回予告
第3回:潜在顧客が顕在化する瞬間とは?
どんな行動・変化が「顕在化のサイン」になるのかを、実務目線で解説します。