BtoB広告のバナーは何種類必要?配信データから見えた「1バナー約4,000円」という目安
Web広告を配信する際、「バナーを何種類用意すればよいのか」と悩むことは少なくありません。
3種類で十分なのか、10種類必要なのか。それとも、さらに多くのクリエイティブを用意した方が広告効果は高まるのでしょうか。
特にBtoB広告では、BtoCと比較して広告予算が限られるケースも多いため、「バナーを増やしすぎると、1種類あたりの配信量が少なくなってしまうのではないか」と考えることもあります。
当社でもこれまで、案件ごとに複数のクリエイティブを用意して広告配信を行ってきました。
そこで今回、実際のBtoB広告配信データをもとに、「広告予算に対して、どの程度のバナー数を用意すると効率が良いのか」を分析しました。
その結果、高いCTRを記録した案件では、1バナーあたりの配信金額が約4,000円となる傾向が確認できました。
今回は、この分析結果とBtoB広告におけるクリエイティブの考え方について紹介します。
BtoB広告のバナーは「何種類」が正解なのか
広告運用では、複数のバナーを用意して効果を比較することが一般的です。
例えば、
・製品の機能を訴求するバナー
・導入メリットを訴求するバナー
・課題解決を訴求するバナー
・導入事例を訴求するバナー
・価格やキャンペーンを訴求するバナー
など、同じ商品・サービスでも複数の切り口から広告を作ることができます。
しかし、「何種類作ればよいのか」という点については明確な基準がありません。
広告予算10万円の案件と100万円の案件で同じ本数のバナーを用意することが適切なのかという疑問もあります。
そこで当社では、単純な「バナー本数」ではなく、「広告予算÷バナー本数」という考え方で実際の配信データを分析しました。
つまり、1種類のバナーに対して、どの程度の広告費が使われているかを調べたということです。
高CTR案件では「1バナー約4,000円」という傾向
当社で実際に配信した複数のPC向けBtoB広告案件について、CTRと1バナーあたりの配信金額を比較しました。
その結果、CTRが0.1%以上だった案件では、1バナーあたりの配信金額の平均が約3,976円となりました。
一方、CTRが0.05%以下だった案件では、1バナーあたりの配信金額の平均が約10,875円でした。

高CTR案件 約3,976円
低CTR案件 約10,875円
両者には約2.7倍の差があります。
この結果から、当社では現在、1バナーあたり約4,000円の配信金額を一つの目安としてクリエイティブ数を考えることが、広告効果を高める可能性があると考えています。
ただし、「4,000円使えば必ずCTRが上がる」という意味ではありません。
今回の結果は当社の実際の広告配信データから確認された傾向であり、バナー数とCTRの直接的な因果関係を証明するものではありません。
CTRにはターゲティング、商材、広告掲載面、バナーのデザイン、訴求内容など、さまざまな要素が影響します。
そのため、約4,000円という数字は絶対的な基準ではなく、BtoB広告を運用する際の一つの目安として捉える必要があります。
広告予算10万円なら、バナーは約25種類
仮に「1バナーあたり約4,000円」を基準にすると、広告予算に対するバナー数は次のようになります。
広告予算10万円:約25種類
広告予算15万円:約38種類
広告予算20万円:約50種類
広告予算30万円:約75種類
広告予算50万円:約125種類

従来の感覚では、「10万円の広告予算に25種類ものバナーが必要なのか」と感じるかもしれません。
しかし、ここで重要なのは、単純にデザインの違うバナーを大量に制作することではありません。
複数の「訴求仮説」を広告として市場に出すことに意味があります。
なぜBtoB広告では多くのクリエイティブが有効なのか
BtoB商材では、一つの商品やサービスであっても、ユーザーが興味を持つポイントは異なります。
例えば、ある業務システムを広告する場合でも、
経営者は「投資対効果」に興味を持つかもしれません。
管理職は「業務効率化」に興味を持つかもしれません。
現場担当者は「使いやすさ」に興味を持つかもしれません。
情報システム担当者は「セキュリティ」や「既存システムとの連携」に興味を持つかもしれません。
同じ会社の中でさえ、役職や職種によって興味を持つポイントは異なります。
それにもかかわらず、広告バナーが数種類しかなければ、限られた訴求しかユーザーに提示することができません。
一方で、複数の訴求を用意すれば、
「価格に反応する人」
「機能に反応する人」
「事例に反応する人」
「課題解決に反応する人」
など、それぞれ異なるユーザーの興味に対応できる可能性があります。
BtoB広告においてクリエイティブ数を増やすことは、単に広告のデザインパターンを増やすことではありません。
ユーザーが何に反応するのかを検証するための仮説を増やすことだと当社では考えています。
「当たるバナーを作る」から「当たるバナーを見つける」へ
広告制作では、「最も効果が高そうなバナーを作る」という考え方になりがちです。
しかし、実際にどの広告がユーザーから反応されるのかを、配信前に完全に予測することは困難です。
社内では非常に評価の高かったクリエイティブが実際にはクリックされず、逆に想定していなかった訴求が高いCTRを記録することもあります。
そこで重要になるのが、
複数のクリエイティブを用意する
↓
実際に広告を配信する
↓
ユーザーの反応データを蓄積する
↓
成果の良いクリエイティブを見つける
↓
配信を最適化する
という考え方です。

つまり、
「当たるバナーを作ってから広告を配信する」のではなく、「複数の仮説を配信して、当たるバナーを見つける」
という発想です。
広告配信プラットフォームの最適化技術が進んだ現在では、広告主側が事前にクリエイティブを絞り込みすぎるよりも、複数の選択肢を用意し、実際のユーザー行動をもとに評価する方法が有効になる可能性があります。
バナーの「本数」だけでなく「違い」も意識する
クリエイティブ数を増やす際には、単純な本数だけでなく、「何を変えて検証するのか」も重要です。
例えば、
「背景色を変える」
「写真を変える」
「レイアウトを変える」
といった方法も、クリエイティブの効果を比較するABテストでは一般的に用いられます。
同じ訴求内容でデザインやビジュアルだけを変更することで、「どのような表現がユーザーの目に留まりやすいのか」を検証することができます。
一方で、多数のクリエイティブを用意できるのであれば、こうした「表現の違い」に加えて、「訴求軸の違い」も検証することが重要だと考えています。
例えば製造業向けのサービスであれば、
「生産性向上」
「コスト削減」
「人手不足対策」
「品質向上」
「導入実績」
「技術力」
「無料トライアル」
など、同じ商品・サービスでも複数の訴求軸を考えることができます。
さらに、それぞれの訴求軸について写真、コピー、レイアウトなどを変えれば、より多角的なクリエイティブテストが可能になります。
例えば、
訴求軸 × コピー × ビジュアル × レイアウト
という組み合わせでクリエイティブを考える方法です。
このように考えると、「25種類のバナーを作る」というよりも、複数の仮説を組み合わせた25種類のクリエイティブを市場に出し、ユーザーの反応を検証すると捉えた方が、本来の目的に近いでしょう。
クリエイティブ数を増やすこと自体が目的なのではなく、検証できる選択肢を増やし、その中から反応の良い組み合わせを見つけることが重要です。
生成AIによってクリエイティブの考え方も変わる
この考え方は、生成AIの普及によってさらに現実的になっていくと考えています。
これまで多数のクリエイティブを制作するには、コピー作成、デザイン制作、画像制作などに大きな工数が必要でした。
そのため、広告予算が限られるBtoB広告では、数種類のバナーに絞って配信することも少なくありませんでした。
しかし生成AIを活用することで、訴求案やコピー案、クリエイティブ案を大量に作成するコストは今後さらに低下していくと考えられます。
そうなると広告運用も、
「少数のクリエイティブを長期間配信する」
方法から、
「多数の仮説を短期間で市場に出し、データから有効な訴求を見つける」
方法へ変化していく可能性があります。
重要になるのは、クリエイティブを作る能力だけではなく、どのような仮説を検証するのかを設計する能力です。
まとめ:1バナー約4,000円を一つの目安に
今回、当社のBtoB広告配信データを分析した結果、CTRが0.1%以上だった案件では、1バナーあたりの配信金額が平均約3,976円となる傾向が確認できました。
一方、CTRが0.05%以下だった案件では約10,875円となっており、両者には約2.7倍の差がありました。
もちろん、この結果だけで「1バナー4,000円がBtoB広告の正解」と断定することはできません。
今後さらにデータを蓄積し、業種、商材、広告予算、ターゲットなどによって傾向が異なるのかを検証する必要があります。
しかし少なくとも、
「広告予算を決める → バナーを数種類作る」
という従来の考え方だけではなく、
「広告予算から必要なクリエイティブ数を考える」
という逆算の考え方には、検討する価値があると考えています。
そして、クリエイティブ数を増やす目的は「たくさんバナーを作ること」ではありません。
複数の訴求仮説を市場に提示し、実際のユーザーの反応から、効果の高い広告を見つけることです。
今回の分析から確認された「1バナーあたり約4,000円」という数字を、当社ではそのための一つの目安として、今後も検証を続けていきます。