Web広告のCV計測とは?サイト構造・サンクスページ・CVタグの関係を解説
Web広告を実施するうえで重要なのが、コンバージョン(CV)の計測です。
広告を経由して問い合わせが発生したのか、資料がダウンロードされたのかなどを把握することで、広告の成果を確認できます。
しかし、CVタグを設置すれば、必ずしも知りたい成果を細かく把握できるわけではありません。
実は、Webサイトの構造やサンクスページ、CVタグの設定方法によって「どこまで細かくCVを把握できるか」が変わります。
特に複数の商品・サービスを扱っているBtoB企業の場合、
- どの商品・サービスから問い合わせが発生したのか
- どの商品・サービスの資料がダウンロードされたのか
- 問い合わせと資料ダウンロードのどちらが多いのか
といった情報を把握できるかどうかは、Webサイト側の設計にも大きく左右されます。
本記事では、Web広告におけるCV計測の基本から、サンクスページとCVタグの関係、複数商材を扱う場合のサイト構造まで、具体例を交えて解説します。
CV(コンバージョン)とは?
CVは「Conversion(コンバージョン)」の略称です。
Web広告におけるCVとは、広告主が成果として設定したユーザーの行動を指します。
例えばBtoB企業では、
- 問い合わせ
- 資料ダウンロード
- 見積依頼
などをCVとして設定することがあります。
広告が何回表示されたか、何回クリックされたかだけではなく、その後どれだけ成果につながったのかを確認するための重要な指標です。
広告で計測されるCVの種類
Web広告のCVには、広告媒体や計測方法によって「直接コンバージョン」と「ビュースルーコンバージョン(VTCV)」などがあります。
直接コンバージョン(直接CV)
広告をクリックしたユーザーがWebサイトを訪問し、サイトを離脱せずに問い合わせや資料ダウンロードなどのアクションを行った場合に計測されるCVです。
ビュースルーコンバージョン(VTCV)
広告が表示されたユーザーが、その場では広告をクリックせず、その後別の経路からWebサイトを訪問してCVした場合などに計測されるCVです。
Web広告は、必ずしも広告をクリックしてその場で問い合わせや資料ダウンロードが行われるとは限りません。
特に検討期間が長くなりやすいBtoBでは、広告を見た後に社名や商品名を検索したり、後日Webサイトを再訪したりしてCVに至るケースも考えられます。
そのため広告の成果を見る際には、直接CVだけではなくVTCVも含めて確認する場合があります。
CV計測を行うために必要なこと
広告経由のCVを計測する場合、一般的には問い合わせや資料ダウンロード完了後に表示されるサンクスページを利用します。
例えば、
商品・サービスページ
↓
問い合わせフォーム
↓
問い合わせ完了
↓
サンクスページ
という構造です。
問い合わせ完了後に表示されるサンクスページでCVタグを発火させることで、ユーザーが問い合わせを完了したことをCVとして計測します。
サンクスページを設置するのが基本
問い合わせや資料ダウンロードなどのフォームを設置する場合は、完了後に専用のサンクスページを表示する構造が、CV計測を設計しやすい方法です。
例えば、
フォーム
「/form」
↓
サンクスページ
「/form/thanks」
という構造です。
サンクスページを表示したタイミングでCVタグを発火させれば、「フォームを開いた人」ではなく「フォームからアクションを完了した人」をCVとして計測できます。

【図1:基本的なCV計測のサイト構造】
広告
↓
商品・サービスページ
↓
問い合わせフォーム
↓
サンクスページ
↓
CVタグ発火
↓
CV計測
サンクスページがない場合はどうする?
Webサイトによっては、
「フォーム送信後もURLが変わらない」
「サンクスページを新しく作ることが難しい」
といったケースもあります。
その場合には、Google タグ マネージャー(GTM)などのタグ管理ツールを利用し、フォーム送信のアクションが正常に完了したタイミングでCVタグが発火するよう設定する方法があります。
単純に「送信ボタンがクリックされたこと」をCVにすると、入力内容にエラーがあり実際にはフォーム送信が完了していない場合でも、CVとして計測される可能性があります。
そのため、可能であればボタンのクリックそのものではなく、フォーム送信が正常に完了したことを条件にCVタグを発火させる方が適しています。
問い合わせと資料ダウンロードを同じCVにするとどうなる?
ここからがCV計測において重要なポイントです。
例えば、ある商品について、
「問い合わせ」
「資料ダウンロード」
という2種類のCVポイントがあるとします。
このとき、サイト構造とCVタグの設定によって、広告レポートで確認できる情報が変わります。
ケース1:問い合わせと資料ダウンロードで同じサンクスページを使用する
例えば、
商品PRページ
↓
問い合わせページ
または、
商品PRページ
↓
資料ダウンロードページ
から、どちらも同じサンクスページへ遷移する構造だったとします。
さらに、このサンクスページで1つのCVタグを発火させます。

【図2:問い合わせ・資料DL共通サンクスページ】
┌→ 問い合わせ ─┐
商品PRページ ┤ ├→ 共通サンクスページ → CVタグA
└→ 資料DL ──┘
この状態で、
問い合わせ:1回
資料ダウンロード:4回
が発生した場合、広告レポート上では、
CV:5回
となります。
サンクスページとCVタグが共通なので、問い合わせと資料ダウンロードの内訳までは判別できません。
ケース2:サンクスページは別だが、同じCVタグを設定する
次に、
「問い合わせサンクスページ」
「資料ダウンロードサンクスページ」
をそれぞれ用意したとします。
しかし、両方のサンクスページで同じ「CVタグA」を発火させます。

【図3:サンクスページは別だがCVタグは共通】
┌→ 問い合わせ → 問い合わせサンクス → CVタグA
商品PRページ ┤
└→ 資料DL → 資料DLサンクス → CVタグA
この場合も、
問い合わせ:1回
資料ダウンロード:4回
だったとしても、同じCVタグで計測しているため、
CV:5回
として集計されます。
つまり、サンクスページを分けただけでは、広告レポート上で問い合わせと資料ダウンロードを分けて確認できるとは限りません。
何を分けて計測したいのかに合わせて、CVタグも設計する必要があります。
ケース3:サンクスページとCVタグをそれぞれ分ける
問い合わせと資料ダウンロードを広告レポート上でも分けて確認したい場合には、それぞれのサンクスページで別のCVタグを発火させます。

【図4:問い合わせ・資料DLを個別計測】
┌→ 問い合わせ → 問い合わせサンクス → CVタグA
商品PRページ ┤
└→ 資料DL → 資料DLサンクス → CVタグB
この状態で、
問い合わせ:1回
資料ダウンロード:4回
が発生した場合、
問い合わせ:1CV
資料ダウンロード:4CV
と分けて計測できます。
問い合わせと資料ダウンロードでは、ユーザーの検討度合いや広告成果としての意味も異なる場合があります。
広告の成果をより詳しく分析したいのであれば、CVポイントを分けて計測できるサイト構造とタグ設定にしておくことが重要です。
複数商材を扱っているサイトではさらに注意が必要
BtoB企業では、1つのWebサイトで複数の商品やサービスを紹介しているケースも多くあります。
例えば、
「商材A」
「商材B」
という2つの商品を扱っているとします。
さらに、それぞれに、
「問い合わせ」
「資料ダウンロード」
という2種類のCVポイントが存在するとします。
この場合、サイト構造とCVタグの設定によって、取得できるデータの細かさがさらに変わります。
複数商材ケース1:すべて同じサンクスページ
商材Aと商材Bの問い合わせ・資料ダウンロードが、すべて同じサンクスページへ遷移する構造です。
CVタグも1つだけ設定します。

【図5:複数商材・共通サンクスページ】
商材A ─┐
├→ 問い合わせ ─┐
商材B ─┘ │
├→ 共通サンクス → CVタグA
商材A ─┐ │
├→ 資料DL ───┘
商材B ─┘
この構造では、広告レポート上で確認できるのはCVの合計です。
問い合わせなのか資料ダウンロードなのか、さらに商材Aなのか商材Bなのかまで細かく分類して確認することはできません。
複数商材ケース2:問い合わせと資料ダウンロードだけを分ける
次に、
「問い合わせサンクスページ」
「資料ダウンロードサンクスページ」
をそれぞれ用意します。
問い合わせではCVタグA、資料ダウンロードではCVタグBを発火させます。

【図6:CV種別のみ分離】
商材A ─┐
├→ 問い合わせ → 問い合わせサンクス → CVタグA
商材B ─┘
商材A ─┐
├→ 資料DL → 資料DLサンクス → CVタグB
商材B ─┘
この場合、
問い合わせ:1回
資料ダウンロード:4回
であれば、
問い合わせ:1CV
資料ダウンロード:4CV
というところまでは把握できます。
一方で、問い合わせや資料ダウンロードが商材Aと商材Bのどちらから発生したのかまでは分けて確認できません。
複数商材ケース3:商材ごと・CVポイントごとに分ける
さらに細かく計測する場合には、
- 商材A・問い合わせ
- 商材A・資料ダウンロード
- 商材B・問い合わせ
- 商材B・資料ダウンロード
という4つの計測ポイントを用意します。

【図7:商材別×CV種別の計測】
商材A
├→ 問い合わせ → サンクスページ → CVタグA
└→ 資料DL → サンクスページ → CVタグB
商材B
├→ 問い合わせ → サンクスページ → CVタグC
└→ 資料DL → サンクスページ → CVタグD
例えば、
商材A
問い合わせ:1回
資料ダウンロード:1回
商材B
問い合わせ:0回
資料ダウンロード:3回
といったところまで分けて計測できるようになります。
広告の成果を商材単位で分析したい場合には、このようなサイト構造とCVタグの設計が有効です。
広告した商材と実際にCVした商材が異なる場合もある
複数商材を扱うサイトでは、もう一つ注意したい点があります。
例えば、ユーザーが「商材A」の広告を見てWebサイトを訪問した後、サイト内を回遊して「商材B」の資料をダウンロードするケースです。
サイト上では商材Bの資料ダウンロードですが、広告の成果をどのように判定するかは、広告媒体側の計測仕様や設定にも左右されます。
そのため、商材ごとにCVタグを分ければ、必ず広告レポート上でも「広告した商材」と「CVした商材」の関係を完全に把握できるとは限りません。
複数商材を広告配信する場合には、サイト側のCV設計だけでなく、広告媒体側でどのようにCVが判定されるのかも確認しておく必要があります。
サイト構造は「何を分析したいのか」から逆算して考える
ここまでの違いを整理すると、次のようになります。

重要なのは、単純に**「CVタグを設置すること」ではありません。**
広告運用で何を分析したいのかを考え、その分析に必要な単位でCVを計測できるサイト構造とCVタグを設計することが重要です。
例えば、広告費を商材別に投下しているにもかかわらず、CVが全商材の合算でしか確認できなければ、どの商品・サービスが成果につながっているのかを細かく評価することが難しくなります。
広告配信を開始してから計測方法を考えるのではなく、できれば広告配信前に、
「何をCVとするのか」
「何と何を分けて計測したいのか」
「現在のサイト構造でそれが可能なのか」
を確認しておくことをおすすめします。
フォームとサンクスページのドメインが異なる場合
CV計測では、フォームやサンクスページが設置されているドメインにも注意が必要です。
例えば、自社サイトから外部のフォームサービスへ遷移し、フォーム送信後のサンクスページも別ドメインに存在するといったサイト構造です。
広告配信対象となるWebサイトとCVタグを設置するページのドメインが異なる場合、サイト構造や計測環境によっては正常にCVを計測できないことがあります。
そのため、外部フォームサービスなどを利用しており、フォームやサンクスページが別ドメインに存在する場合には、広告配信前にCV計測が可能か確認することをおすすめします。
CV計測の観点では、同一ドメイン内にフォームページとサンクスページが存在する構造の方がシンプルです。
CV計測時のその他の注意点
CVタグを設定する際には、実際の問い合わせや資料ダウンロード以外のアクセスがCVとして計測される可能性にも注意が必要です。
例えば、サイト制作担当者や広告運用担当者が広告の配信対象となっていた場合です。
広告を表示・クリックした後に、CVタグの設置確認やサイト改修などでサンクスページを表示すると、広告配信レポート上でCVとして計測される場合があります。
CVタグの設置や変更後にテストを行った場合には、テストによるCVが広告レポートに含まれていないか確認しておくとよいでしょう。
CV計測は広告を始める前に確認する
広告配信の準備というと、
- 配信ターゲット
- 広告クリエイティブ
- ランディングページ
- 広告予算
などに目が向きやすくなります。
しかし、広告配信後に成果を評価するためには、CV計測の設計も重要です。
広告を開始した後になって、
「問い合わせと資料ダウンロードの内訳が分からない」
「どの商品からCVしたのか分からない」
「そもそもサイト構造上CVを正しく計測できない」
と分かっても、過去にさかのぼって計測することはできません。
そのため広告配信前に、サイト構造とCV計測方法を確認しておくことが重要です。
まとめ
Web広告のCV計測では、CVタグを設置するだけでなく、Webサイトの構造と計測したい成果をセットで考えることが重要です。
問い合わせと資料ダウンロードを同じCVとして計測するのか。
それぞれ別のCVとして計測するのか。
さらに複数の商品・サービスを扱っているのであれば、商材単位まで分けて計測するのか。
必要な計測精度によって、サンクスページやCVタグの設計も変わります。
特にBtoB広告では、問い合わせや資料ダウンロードなどのCV数が多くないケースもあります。
限られたCVデータを広告改善に活用するためにも、「何件CVしたか」だけではなく「何のCVが発生したのか」を把握できる計測環境を整えておくことが重要です。
広告配信を始める際には、広告媒体側の設定だけでなく、自社サイトのフォーム、サンクスページ、CVタグの構造についても確認してみてください。